埴輪はどこかへ

楽しさも、憂いも、全て旅の中にある。

2021東九州周り旅行:九州4日目ダイジェスト

この日はなかなか濃かった(ここまで有意義な日になったのは久しぶりだった)。

行程 6:20鹿児島中央→7:33山川: 指宿枕崎線普通 山川ゆき

7:36山川→7:48西大山:指宿枕崎線普通 西頴娃ゆき

8:36西大山→8:54指宿:指宿枕崎線普通 指宿ゆき

9:01指宿→9:42平川:指宿枕崎線普通 鹿児島中央ゆき

10:23(+9)平川→10:51(+5)特攻観音入口:鹿児島交通金生町ー特攻観音入口) 特攻観音入口ゆき

12:59(+4)特攻観音入口→13:02(+4)中郡:鹿児島交通指宿いわさきホテル武家屋敷入口)武家屋敷入口ゆき

14:14(+2)中郡→14:51加世田:鹿児島交通(加世田ー知覧、加世田高校経由)加世田ゆき

17:30加世田→18:41(-4):鹿児島交通とろぴかるえくすぷれす(枕崎ー鹿児島空港鹿児島空港ゆき

20:25鹿児島空港→21:50羽田空港:SNA2480

 

とりあえずまだ闇の中の鹿児島中央駅を爆音を響かせながら出発。朝日は昇る 私は旅する を象徴するような桜島と朝日の美しいコラボレーションを車内から眺めていた。

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向き的に大隅半島しか綺麗に撮れなかった

文字通り爆走して山川へ。山川では1両の錆びついた気動車に乗り換える。果ての鉄路は保線状態もあまりよくないのか、バス程度のスピードしか出ていないのにかなり揺れた。客は各ボックスに2人座るほどには乗っていて、旅行者も多く車内には活気があった。廃止への悲壮感みたいなものは特に感じず。そうこうしているとゆるやかな南下がりの傾斜の向こうに海や奇岩が見られてほどなくして西大山駅に到着した。乗客の半分以上がここで降りた(ICカードは使えないということをもっと広めないといけないようだ)。

降りればそこには息を呑む景観。あまりにも綺麗な円錐形の開聞岳に、国内旅行では本来得られないタイプの興奮を感じてしまった。

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果てへの旅路

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語るまでもない雄大な景色

数十分時間があったので、少し先の踏切を渡った先のところで静かに山と畑を眺めていた。

 

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郷土富士のひとつとして消費するにはあまりにももったいない

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枝が元気

列車の到着直前、8:25ぐらいに駅の目の前の土産物店がOPENしたのでさっそく最南端の駅到達証明書を購入。急いでホームに戻って駅を去った。最後まで賑わいが創出されていて、鹿児島県の一つのメジャーな(?)観光地として認識されているように見えた。

平川駅まで戻って、いわさきグループの平川バス停まで戻るも、Yahoo!乗り換え案内の時刻が20分早く誤記されていたことが発覚して(さらにバスも遅延しており)数十分待ちぼうけを喰らった。車通りはかなり激しいがコンビニの一軒も見当たらなかったので湾の向こうの桜島をぼけーっと眺めているだけで終わってしまった(美しかったので良いです)。

 

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いろんな向きから見るのも悪くない、悪くない

しばらくして知覧ゆきのバスに乗車し、すごい勢いで峠を越えて、坂を登って知覧特攻平和会館に。修学旅行生や団体旅行客が老若男女皆見学に訪れていた。

説明するまでもないが館内には、特攻隊員たちがもう戻ってくることはないとわかっていながらも出撃する、その直前に、愛する家族や尊敬する恩師、もしくはこれからの日本という国家のあり方についてどう思うかということを書き綴った遺書が並べられている。彼らは志願したのだから国家によって無理やり殺されたわけではないと評論する声もあろうが、当時の日本社会の全体主義的な空気の中で、国民全体が正しい戦況判断の情報を与えられず、言論の自由も失われて、そういう中で自分の命を差し出せば一縷の望みがあるのではないかと、そういう思考回路が存在してしまうということだけでも十分恐ろしい時代であったとはいえよう。ここに個人の感想を書き連ねてもしょうがないので(じゃあなんでブログを書いているんですか?)これ以上は述べませんが、ただ自分が惰性で生を送るのは申し訳ないなあという気持ちには最低限なったということは表明しておく。みなさん一度は訪れて、各人異なる感想を持つとは思いますが、それでも向き合うことが大事だというふうに思います。

 

平和会館の外側はお土産屋集積地となっており、一昔前の観光バスがじゃんじゃん来るタイプの観光地の風情。南九州市といえば茶なので、試飲をして茶を購入した(が自分の手元には残らなかった)。

またも遅れてきたバスを捕まえて知覧麓の重伝建へ。公園でA COOPで買った安い太巻きを口に詰め込んだ後、入場料を払って庭園の内部まで見学。建築として古いものはそこまで残っていないが、そのあとの生活でも使われてきた分維持管理が非常に丁寧で、完全にタイムカプセルという感じ。生垣の刈り込みで自然を表現する工夫が都市型庭園のはしりとも思われる。中央の通りも石垣が整然として、各家の門構え(というか石構え)もたいそう立派。範囲の中央付近にあった知覧造の建造物(正方形の小屋を廊下でずらして接続する特異な形式)もなかなか興味深い。晴れ渡った空の下、観光客が数人しかいない麓集落では丘の上とはまた別の時間が流れていた(せっかく特攻会館まで来たらこちらも訪れたらいいのに)。

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誰もいない

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もこもこが美しい(粗雑な感想ですみません)

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定期的なタイムスリップはからだにいい

そのあと本当に誰も乗っていないバスに数十分揺られ加世田の街へ。市役所には大迫選手の砂像があった。加世田はもともと鹿児島交通枕崎線の中心駅として栄え、知覧への支線や車両基地などもあったが全て昭和時代のうちに廃止された。今では鹿児島空港鹿児島中央駅伊集院駅枕崎駅へ向かうバスのターミナルになっている。バスに準急とかあるのは珍しいですね。

ターミナルから少し離れたところに南さつま市観光協会の建物があって、土産品やパンフレットはもちろん、あまり宣伝はしていないが自転車を安価に借りることができる。

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観光協会。かなり親切な方でした(ありがとうございます)

今回は吹上浜までちょうどいい時間のバスがなかったので南薩鉄道の廃線跡を生かしたサイクリングロードを通って万世の特攻資料館を訪問することに。さすが路盤跡とあって登り坂も緩やかで大変自転車が漕ぎやすい。しばらくしてきれいに区画された砂地地帯になって、ほどなくして記念館に着いた。

万世の資料館はリニューアルされたばかりで資料も大変きれいに整理されており、少し前の文体であったり崩し字で読みにくいと思われるものも含めてそのほとんどに、新仮名遣いの読みやすいパソコン入力の冊子がそばに置かれていて、その遺書の内容までもをしっかりと理解できる丁寧な展示方法であると感じた。万世から飛び立った特攻隊員は数としては知覧よりも少ないが、それはそうでもこちらでも尊い命が多く失われていったわけでありその事実は全くもって軽いものではない。土曜日の昼下がりであるのに他に見学している人は誰もおらず、空調の音だけが聞こえる張り詰めた空間でその遺書と遺志に向き合うことになったその数十分のことを決して忘れることはないだろう。時間が許せばもう少しゆっくりと滞在したかった。もし車で薩摩半島を訪れる場合には是非訪問していただきたい。

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万世の資料館の1F。2Fに遺書などの展示がある

そのあとは少し海側に出てサンセットブリッジを眺めたり、途中道に迷いながら加世田麓の重伝建の入口だけを確認したりしてバスの時間の十数分前に帰還。危ないですね(というか重伝建ももう少しゆったりと見学したかったところ)。

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まだsunsetではない

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乗り遅れが怖くてこの景色しか結局見ていない

加世田から直接空港ゆきのバスに乗車。鹿児島空港は出水や川内、枕崎などいろいろなところから直接アクセスできてとても便利ですね。

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乗客は伊作から先は7人ぐらいだった。

鹿児島空港では鶏飯バイキングに参戦(予算がなく鶏飯バイキングだけとった)。あっさりとした鶏がらスープがおいしいのでどれだけでもいけてしまう。せっかく具材が健康的なのに食べすぎたら本末転倒ですね。¥600はありえないはなしだと思う。

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全身が奄美料理に

そのあとソラシドエアで旅行としてはなんと十年以上ぶりの国内線を利用。左側の窓横から宮崎や室戸、新宮を眺めながらの快適なフライトでした。鉄道旅行だと最後の1日は大体移動で果てますが飛行機の旅は最後まで有効活用できていいですね(もうちょっと直前でも安く取れるといいなあ)。

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KOJ

東九州周り旅行(九州部分)の報告はこれで締めさせていただきます。大分/宮崎/鹿児島に行かれる際の多少の参考になれば幸いです。