埴輪はどこかへ

楽しさも、憂いも、全て旅の中にある。

2021丹後若狭旅行:1日目ダイジェスト

日本海の優れた景観と栄える街並みを吸収。

 

行程(2021/7)

大山崎JCTー(京都縦貫道)ー道の駅 京丹波味夢の里ー(京都縦貫道)ー天橋立ビューランドー(R178)ー傘松公園ー(R178)ー伊根町伊根浦重要伝統的建造物群保存地区ー(R178)ー浦嶋神社ー(R178)ー屏風岩・立岩ー(R482など)ー与謝野町加悦重要伝統的建造物群保存地区ー(R178など)ー東舞鶴

全くもって行ったことのなかった京都府の丹後地方と福井県の若狭地方を巡る旅。1日目は丹後地方をしっかりと観光しました。

大山崎JCTから京都縦貫道へ。起伏は激しいながらも住宅街や田畑、山林などめまぐるしく変わる風景がなかなかに面白い道路でした。ただ途中で管理主体が変わる影響で料金が結構嵩むのが難点。(周辺車のナンバーなどの映り込みを避けるため写真はカット)

せっかく高速に乗っているので途中のSA的な道の駅、味夢の里へ。まだ朝早いのでどうかなと思いましたが、丹波地方の名産である黒豆や栗を使った各種のお菓子をはじめ、丹波・丹後地方の食材をふんだんに使った弁当や寿司などもかなり充実していて、今までで訪問した道の駅の中ではかなり満足度の高い部類に入ることを確信しました。普段はきっと多くのツアーバスも立ち寄るなど一般道沿いの道の駅に比べればかなり繁盛するのでしょう。また情勢が収まって賑わうのを心待ちにしているのが伝わってきました。

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丹波の道の駅 とても質が高い 再訪したい

引き続き京都縦貫道を宮津天橋立ICまで走って一般道へ。一気に交通量が増え観光の栄えっぷりを感じます。そして天橋立ビューランドに到着。天橋立の見方のうち、「飛龍観」を眺めることができます。酷暑の影響もあり(そして完全な休日でもないので)そこまで観光客は多くありませんでしたが、リフトが稼働しており、当然前を向いて座っていると斜面しか見えませんが振り返るとすでにそこには絶景があるのでした。本当に初めての訪問なので感動も一入です。(これまた自分の顔が写ってしまうので写真をあげられません、こんなんばっかりですね)

そして上に到着、ありえないほど晴れ渡った空に、濃い青色の日本海。そして美しい白砂に松並木の天橋立。全てに謬りのない絶景がそこに広がっていました。荒れ狂う日本海のイメージがまたひとつ美しいものへと更新されました。このあと天橋立を取り上げたいろいろな番組をテレビで見ましたが、いかなるロケよりも状況がよかったぐらい本当に素晴らしかった。

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誰がこの風景に文句を言えようか

被写体が美しすぎるので、機材とか技法とかそういう問題ではなくて綺麗に写るのはもう間違いありません。展望台のいろいろな場所から写真撮影をしたり、ほぼ貸し切り状態の股のぞき台をいろいろ試したりしていました。

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宮津市の指定ゴミ袋のデザインになっているそうですね

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絶景の前で食べる弁当は当然うまい

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少し高いところから撮った もう自由だと思う

下りのリフトも絶景。照りつける太陽の下天橋立の本体に歩いて行きます。まず袂にある智恩寺へ。多宝塔は重要文化財で、寺院としても多くの書物に記録が残り長い歴史を誇ります。

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風格

そして天橋立へ、多くの人が海水浴を楽しんでいましたが、少し奥の方に行くと徐々に人も減ってきました。天橋立は細いようで意外に太いので、阿蘇海と宮津湾の両方ともが視界に入る瞬間はないといっていいでしょう。その天橋立の上に立つ小さな社が天橋立神社です。その境内からは海水に囲まれた立地ながらなぜか淡水が湧き出る清水があり日本百名水に指定されています。松並木が美しくすべての情景を引き立てていました。

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狛犬に睨まれることでしか得られない緊張感もある

地元よりも激しく肌に突き刺さるように感じられる日差しの元で、天橋立の白砂の浜の前に立てば、それが冬には荒れ狂う日本海であることを忘れてしまうような、心地の良いリゾート地の空気が流れています。

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これが白砂青松

そして車で宮津市江尻の方に移動。丹後国一宮である籠神社の立派な社殿を眺めつつ、ケーブルカーの府中駅に到着。昭和レトロの雰囲気を残す駅舎でしたが、その日は利用者が少ないということでリフトは運休になっており全員がケーブルカーを利用することになり、いくら人が少ないとはいっても15分に1本のケーブルカーではかなり満員になってしまうのでした(あとは滞在が15分の整数倍しか許されないという話もあります)。

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乗り潰しではございません

傘松公園からみる天橋立は、天橋立ビューランドからのものとは異なりその水平方向の湾曲を感じさせず、真一文字の緑の帯があたかも堤防のように横たわっているという景観となります。奥には海ではなくて山が見えるというのも当たり前ながら全体の印象を変えます。もともと古刹の成相寺がこちら側にあることからこの風景が先に広まったのではないかと雑に推察していますが、ダイナミックさを勘案すると飛龍観の方が優れているのではないかという気もしました。そういえば、江尻の方には阿蘇海の湖岸線ギリギリに止める駐車場もあってなかなかスリリング。

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穏やかな印象になる

そのまま国道178号線を北上すると里波見のあたりでは完全に山、道、海しか視界に入らず全てを削ぎ落とした美学という感じになっていました。そのまま伊根の市街地(平田の伊根浦公園)へ。車を降りた瞬間から目にした光景に興奮が止まりません。

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里波見という地名はその通り

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雑誌やTwitterで見たそのままの景色

 

湾を出るとすぐに冬には荒れる外海のはずなのに、夏とはいえ恐ろしく穏やかな伊根湾は、日本海側では珍しく南側に開いている湾。その向きと、入り口にある無人島の作用で、外海の波浪はあまり作用せず、海水面ギリギリのところまで舟屋が立ち並ぶ特徴のある景観を呈しています。舟屋の一階は多くが船をそのまま引き上げて保管するのに適した構造になっていましたが、現在では船は木造ではなく必ずしも舟屋にしまっておく必要性もなくなっているわけで、この景観が維持できているのはひとえに地元の方々の努力の賜物であります。古くは単に船と漁具の倉庫だった舟屋も、極端に平地が少ない伊根浦岸(車が一台通るのがやっとの細い道を挟んで、母屋と舟屋が相対しているが、現状平地がその厚みしかない)において、住居の確保の問題もあり、2階が民家として転用されたり、または観光振興を目的としてカフェになっている物件も存在しています(証左として、日当たりもいいので結構洗濯物などが干してあり、撮影には気を使いました)。他の重伝建がわりと「建築の外見がそのまま」であったり「建築自体が古い」であったり、そういうところに重きが置かれがちで、生活の足音のしないタイムカプセルのような空間を指向していることがままある中で、伊根には確実に生活の営みがあって、少しずつ姿を変えながら大枠としての特色ある景観を改善しながらも受け継いでいこうという強い気概を感じたところでした。

まあそんな小難しい感想は置いておいて、純粋に日本の他のところでは見られない美しい景観です。私は遊覧船(地元の方が経営されている漁船のような趣のある小さな船)に乗り込んで、船頭さんの調子の良い語り口調に耳を傾けながら数十分の船旅を楽しみました。さすが穏やかな湾なので全く酔わず、カモメに餌付けして指をカプッと噛まれてしまうような、そんな素敵な夏休みの昼下がりです。

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確か最古の舟屋だったと思う 建築としての構法や船着部分の造作に古様が見られる

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伊根の天然の防波堤となっている神聖な島

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先端までびっしりと

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一番舟屋がよく収まる構図らしい

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山の上にある道の駅から見た遊覧船

 

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決して幻想ではなく、現実

軽く道の駅に寄ってから本庄地区の浦嶋神社へ。昭和時代の番組の再放送で取り上げているのを見かけたので訪問してみました。各地に残る浦島太郎伝説とは少し異形の物語が地域の民話として語り継がれています。

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社殿は国登録有形文化財に指定されており、かなり立派

そのまま丹後半島の先端に向かって行きます。蒲入からひたすらワインディングロードを進み、経ヶ岬園地、屏風岩を経て山陰海岸ジオパークのほぼ東端のジオサイトである立岩にたどり着きます。立岩は河口の横に陸繋砂洲を形成して陸地とつながっており、行こうと思えば近くで観察することもできそうです。柱状節理をダイナミックに感じることができるスポット。近くにある間人の漁村景観もすばらしいとは聞いていましたが時間の都合上訪問できず心残りですが、自然を眺めるのもまた良い。

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名も無き海岸

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屏風岩 ちょっと遠いけれどもなかなか美しい

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立岩 自然の力

そのあとは南下して、峰山の力のあるロードサイドを眺めながら与謝野町加悦の重伝建に日没直前に到着しました。

著名な織物である丹後ちりめんの生産で現在でも栄える加悦の街並みは、一種「ちりめん御殿」とも呼べるような立派な屋敷が旧街道沿いに立ち並んでいます。時間帯的なもので誰も歩いていませんでしたが、現在でも住み続けられる屋敷の多くからは柔らかな生活の光が照らし出されていました。

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たそがれ

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原風景

このあと暗闇の中をひた走り、東舞鶴についたところで1日目はおしまいです。目に新しいものが多く、お腹いっぱいになりました(ご飯も美味しかったし)。