埴輪はどこかへ

楽しさも、憂いも、全て旅の中にある。

2022四国旅行:4日目ダイジェスト

まちからまちを、つないで走る。



最近以前と比べて相対的には多くの方にご覧いただけるようになってきました。ありがたいことです。この記事ではじめてこのブログを訪れたという方も、ぜひ以前の投稿もお読みください。

 

四国旅行も4日目。この日は一日高知県西部、高岡郡を中心に巡りました。

中村から土佐くろしお鉄道線。すぐに土佐入野で下車し、入野海岸へと歩きました。太平洋らしい雄大な砂浜海岸ははるか遠くまで続き、朝早いにもかかわらず関西方面から多くのサーファーが訪れて賑わいを見せていました。

つづいて土佐佐賀。駅前には「佐賀駅前」というバス停があり、別の街を想起させますが余りバスは来ません。ホームが地元の方の寄り合い場所になっていたのが印象的でした。

更に進んで窪川へ。あまりにも海岸線が険しいことから一度鉄道は内陸の盆地へと避難します。古くから交通の結節点、遍路札所の岩本寺の門前としても栄えたまちなみはかなり歴史を感じさせる一方で、線路をまたぐように建設された公共施設の複合体が、現在までその繁栄が続いていることを象徴しています。すさまじくおしゃれなのでびっくりしました。



ちなみに岩本寺現代アートとのコラボで鮮やかな彩りのある境内でした。先進的で目を喜ばせるような街です。門前すぐのところには和菓子屋があって絶えず客が出入りしています。

 

窪川駅から高知方面は極めて本数が少ない区間です。遠慮なく特急に乗って次の土佐久礼までひとっ飛び。

 

はじめの行程ではそのまま須崎まで進むつもりだったのですが、どうしても降りてみたくなったので、思い切って、重要文化的景観に指定されている中土佐町久礼の街並みを観察してみることにしました。

 


駅舎はこじんまりとして、曜日の問題か無人でした。駅から歩くとすぐに市街地の端になりありがたい。懐かしいスーパーがある昭和の雰囲気が薫る細道を進むと、高知県で最も歴史のある酒蔵である、西岡酒造店があったので見学。中ではグッズや清酒の販売のほか、歴史展示も行われています。

 

つづけて漁港の方へ。ふらふら歩いているだけでも立派な古民家が目に入るのがすばらしい。港に出ると、入り口が狭まった湾にへばりつくようにして進む道、そしてなんといっても深い青色の海。岸壁では漁師の方が談笑しています。

 

目新しい形状の津波避難タワーを登ると、そこにはかなたまで広がる海原と、ダイナミックな海岸線のコントラストの美しさがありました。街を振り返れば、家並みが密集し、その繁栄が伝わってきます。

 

街の中心的な信仰の場であるところの久礼八幡宮は、気持ちの良い社叢を通り抜け、鳥居の奥には海がのぞいています。理想的な風景の一つでしょう。

 

そして忘れてはならないのは久礼大正町市場。高知県でも有数の海産物の名所でカツオやウツボを食することができます。私はカツオ丼を頂きました。完全な生のカツオは鮮度がないと難しいので貴重な体験。とてもおいしかったです。次はウツボにも挑戦したい。くれ天という練り物も美味しいですね。


一通り街を見終えたら須崎へ。途中の安和の海岸は、昔高知を訪れたときにも印象深かった車窓の一つです。

須崎の駅はこざっぱりとしていて、街に出れば2つの曲がり角を越えて商店街が長く続いています。街角にはたまに豪勢な古民家があり、ひとつは須崎市の管理下でギャラリーになっています。

 

須崎の街は高知高陵交通のエリア。まちなかから小さなバスに乗って、檮原を目指します。結構車内は混雑していましたが、多くの方が津野町内で降車されてしまい、檮原につく頃にはガラガラに。

 

檮原は古くから集落が営まれた地でそれなりの規模の集落であり続けましたが、厳しい自然環境のなかその維持には幾多の苦労が積み重ねられてきました。夏になれば土砂崩れ、冬になれば大雪で何度も孤立するなどしましたが、近代のインフラが到達して、そこから自然との調和の取れた街並みの形成に重点を置くようになりました。

 

中心部の通りは、山村とは思えないほどに整理され広々としています。また、街の中には隈研吾の建築が点在しており、いずれも木材を内装・外装ともに多用したデザインの中で、実用性にも優れており好印象です。図書館はいっぱしの都会のものよりも賑わっていてかつ陳列方法もわかりやすく整備されていて、村の老若男女の寄り合いの場所としてすっかり定着しています。

 

帰りは須崎の高陵交通本社まで。檮原の案内所からひたすら乗客は私だけでした。本社のすぐ裏の海が美しくてしばらく佇んでいました。こういう何気ない1ページを大切にしていきたい。こういうものの記録がブログの真髄であるべきです。

 

須崎駅からは生活感のある普通列車で佐川へ。すっかり夕暮れになってしまいました。

 

今では桜で有名な佐川は、高知県西部方面の土佐藩の拠点の一つとして栄えました。そのため、藩校も置かれた文教都市であり、また司牡丹酒造のある酒蔵の街としても知られており、駅からもほど近いその中心部にはかなり趣深い街並みが残されています。夕暮れ時、偶然桜まつりのための提灯が街並みと、山に登っていく道に沿ってつけられていてその特別感を増しています。穏やかな夜の訪れにはしゃぐ子供を見ながら、自らの幼少期をしばし回顧しました。さくらまつり ではなくて 酒まつり と書いているのも花より団子的な表現でおしゃれだと思いました。

そのあとは伊野で少しだけ路面電車を観察。高知の路面電車の郊外部はとくに車両交通との分別がなされていない古めかしいタイプの軌道が見られると聞きます。このあたりは広いので問題なさそうですが、どちらにとってもおそらくヒヤヒヤする道が多いのではないでしょうか。

特急で高知まで進み、須崎名物の鍋焼きラーメンをなぜか高知市で食べて、土佐西部の散策はおしまい。続いて、土佐東街道沿いに進みます。