沖縄:公共交通で巡る歴史とグルメの旅[1日目]
古都と県都の賑わい。
[前置き]
お久しぶりです。今回の記事から数えて3~4回に分けて、沖縄を公共交通機関で旅行してきたという話をしたいと思っています。
今までの私の記事を見ていただくとわかるように、私はかなり一人で旅に出ることが多く、そうするとレンタカーというのは機動性に富むという利点よりも、交通費が凄まじく高くなるという欠点、更には単行運転には当然大きなリスクが伴うという欠点が大きくのしかかってくるわけです。
そして一般的に北海道の大部分や沖縄では、旅行者はレンタカーを使用することが前提となっているような節があり、そうなると一人旅を好む筆者としてはしばらくの間この2つの地方は行き先の検討から外れてしまっていたのです(あまりにも非効率であるように感じたからです)[実際にここに掲載している記事では北海道江差町から鹿児島県南さつま市に旅程が収まっていた事がわかると思います]。
しかしとうとうそのパンドラの箱を開ける必要に迫られることになりました。この数年間で沖縄以外のすべての都道府県に足を踏み入れたことになったからです。残りが沖縄だけだったわけです。
北海道の郡部はあまりにも都市間が離れており人口も希薄であることから公共交通がこれ以上発達しないというのは受け入れざるを得ないことですが、沖縄は全体にかなり郡部にかけても濃密な市街地が形成されています。そして調べてみると、都市間で網状に路線バスの系統が発達していることで、むしろ鉄道を起点としたような本州の交通よりも縦横無尽に動けてしまうのではないかという考えに至ったわけです。
さて実行するかと思ったわけですが、その前にやることが2つあります。計画性のない私ですが(例の丸一日かかる船を除けば)飛行機に乗らなければ沖縄にたどり着けません。これは速やかに突破されました。
そして沖縄にはバスしかないかといえば、モノレールがあります。これに乗ってその周りを観察することが先決かと考えたので、1日目は基本的にゆいレール沿いの名所を巡ったという内容になります。
[本編]
那覇空港からおはようございます。ブログ上ではつつがなく到着したことにしておきましょう。
訪れたときは沖縄の公共交通が安くなる施策が行われていたので、沖縄県外の住民であることを示してゆいレールの1日券を安く入手。早速乗り込みます。混んでいて写真はありませんが、建物の密集の仕方がすごいし、それはともかく発車メロディが美しい。
とりあえず私は歴史的な名所を抑えることを先決としているので、琉球王国の古都である首里地区に向かいました。お腹が空いていたので予定していた昼食処の最寄りである儀保駅で下車。偶然ながらプラットフォーム自体が素晴らしい展望台になっていて、密集した市街地の向こう側に海を望みます。
地図で見るより起伏の激しい土地(この後洗礼を浴びます)を通って、琉球料理定食のランチを提供する「富久屋」を訪れました。古民家の店内は座敷になっており、琉球料理の伝統的な汁物をメインとして、小鉢がたくさんついた定食はとても美味しかった。内地とは味付けのセンスが異なるけれども、ひとつの完成された取り合わせであると感じます。一人で来ると沢山の種類のおかずを食べる機会はそうそうないので貴重な経験でした。
2月なのに暑くてたまらなかったのでBLUE SEALのアイスも摂取。内側から沖縄に染まっていきます。
そして首里城へ。儀保駅側から進んでいくと先に重要文化財の天女橋と円覚寺放生橋を見学して、そのあと首里城の聳え立つ石垣に対峙することになります。今まで基本的に本州の中世から近世の城郭ばかり見てきたのでその曲線的に美しさには驚きました。
首里城は最近の衝撃的な火災によって戦後復興された部分の多くも消失してしまいましたが、現在再建に向けた木材の乾燥など準備が着々と進んでおり、また沖縄のシンボルが誇り高く首里の町に聳えることを期待しています。建物がなくても眺めは素晴らしいです。
世界遺産の園比屋武御嶽石門を見学しつつ守礼門に進むとなんと工事中でした。今度美しくなった姿でお会いしましょう。
続いて首里金城町の石畳道へ。日本の道100選になっています。石畳の道が谷底に転げ落ちんとするばかりに階段と斜面を交えながら続いています。建物はほとんど建て替わっていますが石垣まで一体的に保存されていることに好感を持ちました。草取りを丁寧にしている方もいらっしゃって道はピカピカです。
帰りは現代的(?)な階段のある小路をどんどん上がっていきました。都市のど真ん中にあっていい勾配ではなく、汗だくです。
続いて世界遺産の玉陵へ。休日の昼下がりなのにほとんど観光客の姿はありません。小さな資料館が併設されており、どこに誰がどのような形で葬られているのかという誰しもが気になる事項について一通り説明があります。沖縄唯一の建造物としての国宝なのでじっくり見学しました。あまりにもひとけがないですが、むしろ荘厳さを際立たせているともいえるでしょう。
長袖では暑すぎて耐えられなくなったので、首里高校横のぜんざい屋に駆け込みました。なんとこれで250円。しっかり練乳がかかったかき氷の下側にはたくさんの小豆。満足です。
儀保駅まで戻り、続いて安里駅で下車。壺屋やちむん通りの裏道に入ると重要文化財の新垣家住宅があります。住宅部分は現住なので見学できませんが、保存整備された登り窯を見学することができます(開館日が少ないので注意)。こんなに住宅が建て込んでいるところで高度経済成長期まで登り窯による焼成が行われていたというのは驚くべき真実です。そのまま近くにあった壺屋焼物博物館も見学していきました。うちなーぐちによる解説ビデオがよかった。
続いて赤嶺駅へ。重要文化財の伊江御殿墓を見に行きましたが門が閉まっていて奥に亀甲墓を望むだけで終わってしまいました。まあお墓ですからそんなに部外者に入られても困るでしょう。
さらに北上してモノレールの終点のてだこ浦西駅へ。まだ周辺は開発途上といった感じで、交通の結節点としての今後の発展に期待です。まともな写真がもうクラウドに残っていなかった。
帰りは少しおもろまちを散歩してから県庁前駅の横の商業施設「パレットくもじ」のテナントのひとつである那覇市立博物館へ。地味に国宝とか重要文化財の書画や美術品が置いてあります。
夜ご飯は食べログ定食百名店にも選出されたことがある評判の食堂「みかど」で。ふーちきなー定食を注文。名前からは内容が推し量れませんが、麩とからし菜とスパムとツナの炒めもので食感も楽しく味も抜群です。そして安い(2023/2現在で¥750)でした。
明朝は早いので即投宿。翌日からバス乗り継ぎ旅が始まります。