埴輪はどこかへ

楽しさも、憂いも、全て旅の中にある。

公共交通で巡る台湾の街並みとグルメ旅[第3編]

賑わいの創出。

 

ここまでのあらすじ(まだ読まれていない方はぜひお読みください)

第1編[桃園空港→中壢→鶯歌→三峽→板橋→台北市]

haniwatraveler.hatenablog.com

第2編[台北市内、九份、淡水]

haniwatraveler.hatenablog.com

 

台湾第3編。台北でゆっくりお買い物とかひたすらうまいものを食べ続けるとか、そういう過ごし方もありなのですが、せっかく遠くまで来たのでいろいろな街を見たい。早起きして台湾南部へ向かいます。前回の記事は多くの方に読んで頂けたようで嬉しいので、今回は俄然気合が入っています。

 

一般的な台湾南部観光は、臺灣高鐵で台南なり高雄なりまで往復するもので、おそらく日帰りの強行プランを組む方もいらっしゃるのではないかと思います。それもいいのですが、せっかくなのでちょっと違うものを、ということで、台湾中部でも少しだけ観光をしていくことにしました。

 

[22] 台北捷運 淡水信義線 民権西路→台北車站

朝早くからバスを乗り間違えたら笑えない(というか早朝で少し本数が少なそうだったので)確実なMRTを利用。駅までが遠かったんですけどね。

 

訪れたときはkkday のサイトで、外国人観光客が2枚高鐵のチケットを買うと1枚無料になるというキャンペーンを行っていたので、前日に急いで予約。パスポート番号とクレジットカード番号を差し出さないといけないのでセキュアな通信が確保されたところで行うことを推奨します。おそらくこの記事が読まれている頃にはもうbuy1 get1 は終わっているとは思いますが、外国人割(20%)も前日までkkday で購入できるのでお得に旅行ができます。

早朝出発おすすめです

インターネットで予約しても、外国人割は窓口で受け取る必要があります。高鐵の窓口はいつも混んでいるという噂だったので早めに行きましたが、早朝すぎて空いていました。乗ろうとしていた最速達タイプが満席で切符を売ってくれなくなっていたので(外国人割引が名目上普通車指定席にしか適用されないので)その2本前の各駅停車タイプに乗車しないといけなくなったので、早く着いてよかったということにしましょう。

台北車站は臺鐵と高鐵が隣り合っているのでターミナルとしてもとても便利。コンビニや駅弁屋もたくさんあり、朝から電車を待つ人でそれなりに混雑しています。

大空間がかっこいい。池袋とかにもこういうの作りませんか?

 

[23] 臺灣高鐵 805[南港→左營] 台北→台中(高鐵)

 

各駅停車タイプもほぼ満席御礼で、12両が1時間あたり5~7本でもさばききれていない活発な移動需要にびっくりしました。用地取得の問題で多くの部分で都市から離れた部分を通り、各駅も駅が先、街が後みたいなところが多いですが、在来線やBRT/MRT などの二次交通の接続がちゃんとしているのでかなり好印象。新竹や苗栗などの比較的近距離の移動もそれなりに見られました。台北から台中の約160kmを各駅停車でも64分(最速達タイプだと47分ぐらい)で結びます。高鐵がなければ今回の行程は成立しませんでした。

なぜか緩急接続せず、交互発車になっています

高鐵台中駅に到着。テナントがほとんど日本資本なのでびっくりします。在来線と台中MRTの新烏日 (Xinwuri) 駅と隣接しています。また有名観光地の日月潭に向かう観光客でかなり混雑していました。日月潭へは直行バスがたくさん出ているようです。バスターミナルには日本語が通じるボランティアの方がいらっしゃいました。

 

[24] 彰化客運 6933A系統 高鐵台中站→市場前(鹿港鎮)

車内、ちょっとレトロでよい

台湾中部で最も気になっていた都市であるところの鹿港(Lukang) に向かいます。台湾の中でお極初期から開発され、中国本土側からの上陸/開拓の基地にもなっていたところですが、土砂の堆積などの問題で近代的な港湾への発達は起こらず、日本でいうところの在郷町のような発展を遂げた街です。今回の旅行で唯一郡部にある訪問地です。

 

実はこんなに早起きする必要もなく、高鐵台中站を 9:00 に出る観光客向け直行の6936系統(台湾玻璃博物館ゆき)に乗ってもほぼ同じ時間に鹿港に到着します。でもコロナ減便が行われているかの情報が錯綜していたので、先に確実に発車する6933A を選択しました。

人生のEmergency exit なのかもしれません

地味に県境越えの系統で、台中市から彰化縣に入ります。だいたい臺鐵と並行する道を通りつつ、彰化市の街路をくねくねと通過していきます。臺鐵の彰化車站の斜向かいぐらいにあるバスターミナルにも立ち寄り。そのあと彰化縣政府の前を通り、鹿港への一本道をひたすらかっ飛ばしていきます。北関東あたりにありそうなロードサイドをひたすら進んでいくイメージ。

 

1時間ぐらい乗ってやっと鹿港の商業地域に入ると、かなり立派な面持ちの建物が多いことに驚きます。古蹟区に入る前からかなり老街としての完成度が高いです。

とりあえずバスを降りて、古蹟区へ。鹿港市場の前を通ったのですが、東南アジア的な混雑がMAXになっていてボルテージが上がります。昼から屋台や商店の端をものすごい人の数とオートバイの数で通り抜けていくので圧倒されました。台北よりもより地元密着な感じの商店が多く、野菜や果物などもそのまま売っている感じです(買っても食べられないので買いませんでした)。

トップの写真です

脇道から古蹟区へ。壁面も煉瓦、路面も煉瓦でかなり味がある通りです。割と観光地化された印象があり、テナントも少し観光地っぽい(というかそこまで数が多くありません)。先程の市場のところではどうなることかと思いましたが、適度な人通りでとても好印象。連続性も申し分ありません。たまに屈曲しているところもいいですね。

奥に進むと勅建天后宮という建物があったのでとりあえず参拝。そこから一筋ずらすと表の通りに出て、大変な人通りに圧倒されます。

朝ごはんがあまりにも早かったので適当にと思って阿煜師肉包で肉包(20NTD) 。要するに肉まんなんですが、某大阪の有名店と肩を並べるぐらい美味しかったです。大きさはコンビニの肉まんぐらいですが、ジューシーさが段違いで、生地のパサつきも一切ありません。ちなみに彰化縣は肉まんの名店がたくさんあるらしいです。食べ比べも面白そう。

そして今も昔も鹿港の発展の中心であるところの鹿港天后宮。何らかのお祭りが行われていて着飾った人が練り歩いているなどしてカオスそのもの。境内も活気がありますが、日本の寺院と違って静寂さはないし、割と座って休憩しているだけの人とかもいるのが、生活への溶け込みという点ではかなり面白い(これは台北でもそうですが、さらに顕著な気がします)。

バスの時間は近づいていたのですが、肉まんが美味しかったのでもう一つぐらいなにかつまんでいこうと思い、素珠芋丸で芋丸(30NTD)。写真が適当ですみません(どうすればいいんだか)。鬼まんじゅうみたいなものを想像していたら、しょうが味がする上に中から肉まんの種が出てきて、しかも中華風のあんかけがかかっていてびっくりしました(どうも里芋団子に肉を詰めたものらしい)。ここ以外で結局この食べ物を見かけることはなかった気がします。一期一会。

 

[25] 予定: 員林客運 6系統 員林客運員林BTゆき

  実際: 彰化客運 6933系統 市場前(鹿港鎮)→彰化

 

もともとは員林客運が臺鐵員林站の近くのバスターミナルに向けて走らせている快速公車を利用するつもり(途中バイパス経由で停留所が数箇所しかない)でしたが、待っていても一向に来ないし、バス停の時刻表が不自然に剥がされていたので、同行者に公式サイトをあたっていただいたところ、どうもコロナで朝夕のみの運行になっているらしいとわかりました。まさかの台湾でコロナ減便に遭遇です。Google の乗換案内に出てきても実際には走っていないものもあるので十分注意して行程を組みましょう。

待てどもバスは来ずの図

このときは偶然同発予定の彰化ゆき(先程の逆順のバス)が遅れてきたので乗りました。ただそのあとの行程におよそ1時間の遅れが生じて、昼飯が飛んでしまいました。とりあえず鹿港で立往生は避けられました(臺鐵沿いまで戻ればなんとかなる)。

 

[26] 臺鐵 2153次區間車[基隆→嘉義] 彰化→斗六

臺鐵彰化站

本当は彰化にせっかく降ろされたらなんらかご飯を食べたり扇形車庫を見るべきだったりするだろうとは思うのですが、別の町も少し覗いてみたいというのと、3月というのに真っ昼間は暑すぎて耐えられないという理由で區間車に乗り込みました。員林からは車内もだいぶ空いて快適な旅。さながら青春18切符気分です。

濁水溪

斗六は雲林縣の政府が置かれる街で、それなりの規模です。20分弱でしたが、駅から出てすぐのところに太平老街があるので一走りして撮影。ここもバロック風の意匠のある街並みと聞いていましたがそんなことよりもカラフルな提灯が映えますね。かなりフォトジェニックだと思う。もう少しゆっくりして何か食べたかったですね。

とても長い

[27] 臺鐵 117次自強號[基隆→潮州] 斗六→臺南

自強號にやっと腰を落ち着けます。真っ昼間ですし、この区間は需要の高い部分から離れたところなので無座でも大丈夫だろうと思ってICカードで自強號に乗車しました(実際に途中で席を変わらないといけなくなる羽目には合いませんでした)。ICカードで自強號に乗ると、70kmまでは區間車の運賃で、そこから越えた分は割引なしの二段加算運賃が徴収されます。座席指定券とは大きな値段の差が生じます。例えば斗六→臺南は92kmぐらいですが、紙の乗車券で指定をつけると210 NTDに対して、ICカードだと143NTD。麺線一杯分ぐらい浮きますね。(この列車は最後尾が家族車両になっていました。そういうのは気をつけましょう。またタロコ号やプユマ号では無座乗車は罰金ですので注意)

1時間と少しで、臺南站に到着。国鉄時代の日本の駅の様子のことはよくわかりませんが、きっとこんな感じだったんだろうなあという風情があります。

そして駅を出てみると、全然バスのりばの位置がわかりません。とりあえず安平に行こうと思ったのですが、どうも駅を背にして左側の乗り場から出るものと右側の乗り場から出るものがあるらしい。タイミングを間違えたので、ロータリーを一周しても目的のバスに適切な時間に出会えず。仕方ないので10分ほど歩いて、臺南站後站のほうから来るバスを別の通り(新光三越の横を入っていた方)で捕まえようとしたのですが、バスの本数が少ないのに全然定時に来ないのでストレスフル。台北のあたりでもバスは全く定時ではないのですが、本数が多かったので来たのに乗ればよかったのですが、別の都市圏だとそうも行きません。

待てどもバスは来ずの図2

[28] 府城客運 77系統 民族路西華南街口→原住民文化会館

 

1時間に1本ぐらいしかないので遅れても待つしかないですね。安平への裏ルートで、安平老街の川湊を挟んで反対側の地区までを割とスピーディーに結ぶバスです。めちゃくちゃ信号に引っかかったのでどんどん遅延しました。

バスを降りた瞬間に暑くてやっていられなくなったので、川沿いにあった瓦地加芋円で刨冰3號(50NTD)をいただきました。かき氷の上にタロイモ団子やもちもちした物体、煮豆、仙草ゼリーが乗っていて、優しい甘さで美味しい。このカラフルなもちもち、何が材料かはわからないが個人的にはタピオカよりも好きです。

安平はゼーランディア城などもあって確かに(外来人による)台湾最古の街ではあるのですが、あまりその面影は老街などからは感じられず、古城の中にも展望台が立っているなど完全な観光地の趣があります。

安平古堡はカットして、英商德記洋行と安平樹屋に入場(50NTD)。そういえば故宮博物院に行かなかったのもあって台湾で初めて入場料を支払ったかもしれません。

安平樹屋はカンボジアのタ・プロームのような感じで、古い建物に木がまとわりついて成長しているというタイプの遺跡(?)ですが、さすがに台湾なので補強の鉄骨がたくさん入っていて、自然体に写真を撮るのがとても難しい。德記洋行の中は軽く資料館になっていて、日本語の解説もあった気がします。安平と台南がどれほど歴史があるかということについて熱弁をふるってあります。

 

バスが遅延していて乗れそうだったので猛ダッシュ

 

[29] 府城客運 2系統 港仔里→協進國小(民生路)

裏路地を歩いて神農街へ。途中ではステージが行われていました(何らかの祝日だったのかどこに行っても3割ぐらいの店が閉まっていた印象)。神農街は台南のおしゃれストリート。なぜか東北の日本酒を推してる店が複数ありました。結構南台湾まで行っても日本のものを取り扱う店が多いですね。

そのまま東進して水仙宮市場へ。全然店が開いていなくて逆に怖い。台湾でなければ治安的に歩かない方が吉とされそうですが、台湾なので安心して歩いています。

國華街三段や西門路二段でウィンドウショッピングならぬウィンドウイーティングをして(ここで素直に食事をすべきだったかもしれません)、ロータリーを抜けて、劉家粽子 西門店へ。台南では有名なちまき屋で、少し値段は張りますが巨大(特製肉粽 60NTD)。ちまきに甘いタレをかけるのでぼんやりした味になりかねないと思うのですが、添えられたパクチーも相まってなかなかありという感じになります。具材もたっぷりはいっていて美味しい。これでなんとか夜まで保ちました。

そのまま歩いて赤崁樓へ(50 NTD)。建物の半分以上が改修中でした。高温多湿なので木造部分があると維持管理が大変そうですね。展示はほとんど中国語でした。2023年度は正面側も工事対象になるようなので訪問の際はご注意ください。

台南はバスの使い勝手が微妙なので、かなりの距離歩いてクタクタに。艾摩多手工杏仁豆腐で休憩。(65NTD) 台湾の「甘さ」というのは得てして強烈なのですが、ここは杏仁の素朴な風味を大切にしているのが伝わってきます。メニューは日本語対応。

臺南祀典大天后宮に寄りつつ、林百貨店へ。日本統治時代に営業していた「ハヤシ百貨店」を現地資本で再開発したセレクトショップ。やや高めですが間違いのなさそうなものが置いてあります。ちょうどWiFiの電池が切れていて、何を買うべきか逡巡してしまいました(できれば南台湾のものが嬉しいみたいな気持ちはありましたが)。百貨店自体のグッズもいくつもあります。

そのまま台南孔子廟に進んだところ入場時間外で入れず。電車の時間も迫ってきていたのでロータリーを通って臺南駅に戻ります。近くには有名フルーツパーラーの莉莉水果店などもあるそうですね。

[30] 臺鐵 175次自強號[花蓮→潮州] 臺南→高雄

 

ICカード無座でしたが、端っこの方の車両を選ぶとだいぶ空いていて座れました。よかった。45kmぐらいなので區間車の料金で快適かつスピーディーに移動です。

 

高雄から宿まで歩いて荷物を置き、少しお腹が空いていたので六合夜市に繰り出しましたが、今回はあまりにも長い(もう6000字!) ので一回ここで記事は打止にしましょう。次回の記事、すなわち高雄編で台湾編はおしまい。

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